

N様邸 構造材刻み作業:その3
一般住宅では珍しい、木組みの太鼓梁をふんだんに現わした建物の構造材刻み作業をご覧頂きます。
社寺建築など大型木造建築物では馴染み深い太鼓梁。伝統建築の木組みを構成する主要な構造材ですが、匠の技が施されているのにも関わらず、完成すると天井裏に隠れてしまい目にすることがありません。 太鼓梁1本1本の自然な曲がり形状を活かし、精緻に組み合わされた木組みのダイナミックな構造美を、そのまま室内意匠として現わす住宅の注文を受けて、社寺建築を手掛ける社員大工チームが施工を担当することになりました。
建物全体の構造材はコンピュータで作図されたデータによってプレカット加工されるのですが、木組み構造を現わしにする箇所のみ社員大工による手刻み加工を行い、2つを組み合わせて1棟の住宅に仕上げていきます。
丸太柱の刻み加工作業が始まりました。柱の全長を切り揃えたのち、柱脚部と柱頭部にそれぞれスミ付けされていきます。(平成27年8月27日撮影)
基準面を設定できる角柱と異なり、平面のない円柱へのスミ付けは、より入念で慎重な作業が求められます。
刻み加工のためのスミ付けされた柱から、順次1本ずつ手刻みされていきます。
作業途中、休憩に入る前には必ず作業場の片付け・掃除を行っています。
電動工具を使い効率よく加工を行うこともあり、2時間の作業でもかなりの木屑ができてしまいます。
集塵機の吸引ホースに木屑を集めていきます。まずはテミを使い大きく移動させます。
木屑のヤマを吸引させた後は、残りを箒で掃き集めていきます。
2時間ごとの休憩の前と作業終了時、毎日4回の片付け・掃除が行われ常に整頓された状態が保たれています。
休憩後再開した作業では、電動チェンソーで不要な個所を大きく切り取っていきます。
チェンソーで切り落とした檜丸太柱の一部。
削り仕上げ位置にノミで刻みを入れて、目安をはっきり判るようにしておきます。
電動カンナやルーターを駆使して、目的の仕上り位置まで平滑に削っていきます。
削った面が凹凸のなく仕上がっているか、差し金を当てて平滑さを確認しています。
入り隅の直角部分を手カンナで削り、全体を仕上げていきます。
柱側に「雇い平ホゾ(やといひらほぞ)」が打ち込まれ、刻み加工が完了した丸太柱。(平成27年8月31日撮影)
一通りの刻み作業が完了した太鼓梁と丸太柱。後日、機械で加工されたプレカット材との接続箇所を、現物を取り寄せて確認します。掲載日 2015.09.14