

N様邸 構造材刻み作業:その2
一般住宅では珍しい、木組みの太鼓梁をふんだんに現わした建物の構造材刻み作業をご覧頂きます。
社寺建築など大型木造建築物では馴染み深い太鼓梁。伝統建築の木組みを構成する主要な構造材ですが、匠の技が施されているのにも関わらず、完成すると天井裏に隠れてしまい目にすることがありません。 太鼓梁1本1本の自然な曲がり形状を活かし、精緻に組み合わされた木組みのダイナミックな構造美を、そのまま室内意匠として現わす住宅の注文を受けて、社寺建築を手掛ける社員大工チームが施工を担当することになりました。
建物全体の構造材はコンピュータで作図されたデータによってプレカット加工されるのですが、木組み構造を現わしにする箇所のみ社員大工による手刻み加工を行い、2つを組み合わせて1棟の住宅に仕上げていきます。
太鼓梁を並べ、それぞれに水平位置の基準線をスミ糸で打って刻み加工に必要な寸法を測っていきます。(平成27年8月12日撮影)
太鼓梁の寸法をメモした紙。他の構造材と組み合わさる箇所の加工形状イメージを描き込んだベニヤ板(ひかり板)と合わせて梁の組み合わせ方を検討します。
刻み加工のためのスミ付けを検討する社員大工。お互いの経験をもとに、材料を最も活かせる方法を話し合いで決めていきます。
スミ付けされた太鼓梁。描線がはっきりと読み取れて滲むこともない油性ボールペンを合理的に常用しています。
スミ付けされた太鼓梁は順次刻み加工されていきます。(平成27年8月20日撮影)
垂直に彫り刻むホゾ穴は電動角ノミを使い、効率よく加工していきます。
梁の接合端部を緊結する引き寄せボルトを取り付けるためのボルト穴をドリルであけていきます。
梁を受ける箇所を電動工具(ルーター)で加工する社員大工。省力化を図れる電動工具は工夫しながら積極的に使っています。
電動工具で加工した後はノミを使い手仕事で精緻な仕上げを行っています。
梁を同一方向に繋ぐ「継手(つぎて)」の一つ「台持継(だいもちつぎ)」が加工された太鼓梁。掲載日 2015.08.26