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菊池の台杉:手入れ

台杉は庭木の中でも、大変高価な樹木です。 やっと手に入れた貴重な台杉を誤った手入れで駄目にしてしまうことの無いよう、もっとも大切だと思われる手入れのポイントを挙げておきます。 参考にして下さい。

まず植え込み時の注意点

台杉は非常に水を欲しがる木です。 しかしその反面、排水の悪い庭土では根腐れをおこし、枯れてしまいます。 植え込みの際には植え込み穴を深く大きく取り、水はけの良いマサ土(鹿沼土など)を根鉢の下と周りにたっぷりと入れて下さい。 また、水鉢を十分大きくし、バケツ1杯分の水が溢れないようしっかり作ってください。

植え込みをした年は初冬にかかるまでは晴天時には欠かさず、毎日水鉢にバケツ1杯以上の水を入れてやります。 台杉が根付いて落ち着くまでの2年間は、水鉢を崩さず水遣りに使うようにします。  

「取り木」を健全に保つこと

台杉の特徴ある容姿を保つために重要なポイントは、台杉本来の栽培目的を忘れずに日常の手入れを心掛けること。 つまり次々と磨き丸太(立ち木)を育て、収穫する(更新する)樹木だからたとえ観賞用樹になったとはいえ、容姿を固定しようとはせず「立ち木」を更新していくように手入れをする必要があります。

そのためにはまず、次々と元気良く「立ち木」を伸ばしてくれるよう、「取り木」を健全に保つことが重要です。 「取り木」は「台」とも呼ばれ、いわば台杉の命です。 永い歳月をかけて立派に育った台杉を、誤った「取り木」の手入れで文字通り「台無し」にすることの無いようにしたいものです。

「取り木」は手のひらを水平に広げたように仕立てます。 全体によく陽が当たるように余分な枝は払いますが、枝を払いすぎて幹が丸見えにならないようにして下さい。 「立ち木」は無くなっても「取り木」がしっかりしている限り新しく伸ばすことが出来ますが、「取り木」は無くなると再び再生することは困難です。 

台杉の概念図

「立ち木」の枝は抉るように刈り取る

「立ち木」は「取り木」の中心部分から伸ばすようにし、取り木の先の方の新芽を伸ばしてはいけません。 取り木の先端部分に立ち木を作ると、成長するにつれて重さに耐え切れず形が崩れてきます。

台杉の枝払いには鎌を使います。 刈り取る枝を一方の手で下へ押し下げるようにして、枝の付け根を鎌で抉り取るように払います。 枝の付け根を残しておくと、瘤状になり、しばらくするとまた新しく枝が生えてくることもあり、好ましくありません。 やむを得ず鎌以外の道具で枝を払う場合にも、付け根を抉るように心掛けて下さい。

立ち木の枝払い概念図

施肥と薬剤散布

台杉への施肥は「寒」の時期、1月から2月に1回行います。肥料を与えないと葉の色が黄褐色になることもあるため、水遣り同様気を遣いたいものです。肥料には油粕や鶏糞、園芸用打ち込み肥料などを使い、油粕の場合でコーヒーカップ1杯程度を木の周囲に3から4ヶ所埋めてやります。

葉の色が褐色になってきたときには、ダニなどの害虫の寄生の有無を確認して下さい。 害虫駆除の際の薬剤散布は、1回で全滅させるよう徹底的に。 ダニなどの害虫は一部でも生き残ると薬剤に抵抗力を持って、同じ薬剤では駆除できなくなります。 その他、赤枯れ病などが心配される地域では、その地域によった薬剤を選んで年に1回から2回、季節に関係なく適宜散布してやります。

掲載日 2007.11.22