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連載記事
家づくりのための「木の話」

無理解や不合理が招いた木のブランド化と高価格

13.ヒノキは決して手が届かない木材ではない?

複雑怪奇な日本の木材価格

本当のヒノキ造りの家を、一般の人の手に届く低価格で実現する。常識ではなかなか実現が難しいことを成し遂げた建築業者があります。

なぜ、難しいのか。そこには日本における木材の流通が複雑なために、山の木を伐(き)り、製材し、市場に出荷された後に建築業者の手に届くまでに、価格が非常に高くなってしまうからです。昨今のヒノキの家に対する人気で、木曽ヒノキなどの有名な木は、ブランドとしてますます高くなる傾向があります。

また、垂木(たるき)までヒノキを使おうとすると、もともと需要のない部材はコストが高くなって市販もされないというのが現状です。

ヒノキを安く使えるための工夫

そんな現実の中でヒノキをローコストで使えるのは、木材を原木のまま買い入れて自社で加工したり、産地から直接、ヒノキを大量に仕入れることができる業者です。

もちろん、それを可能にするために、単に材木会社から木を買うのではなく、直接、山を見て、いい木材を買い入れることができるノウハウをもっていることが条件になります。

また、仕入れた木材を無駄にしないように、機能が同じならノンブランドの安いヒノキを有効に使うといった「適材適所」を知っていることも重要なポイントです。

ヒノキの垂木を使うことができるのはそこに秘密があります。垂木用に特別に挽(ひ)いた部材が高価になって引き合わないのなら、ヒノキ自体を安価に確保すればいい。元のヒノキから効率よくさまざまな部材を取り、垂木まで自社の関連会社の製材所で挽くことによって可能となったのです。

特徴によってヒノキを使い分ける

ヒノキといっても近畿産、四国産、中国産、九州産と、それぞれ育ったところによって特徴は異なります。その産地ごとの特性をよく知って、用途によって使い分ける、ブランドでなくても同程度の品質があれば安いヒノキを使う、などの工夫を随所に生かすことができるのも、全国の産地をめぐって研究し、大量に買い付けるからこそできることなのです。

時流に踊らされることなく、本当のヒノキの家づくりを追求し、実績を積んではじめて、本物のヒノキの家と呼べる家はできます。それは木材の流通事情を含めて、山を知り、木を知った木材のプロでなければ実現が難しいことなのです。

木曽ヒノキが格上なのは徳川家の威光があったから
木曽ヒノキとは、木曽川上流の木曽谷に生育する樹齢300年以上の天然のヒノキをいいます。この地域は徳川御三家の一つ尾張藩の領土であったため、尾張の別称である尾州の名から尾州ヒノキと呼ばれています。木曽谷から産出するヒノキ、サワラ、ヒバ(アスナロ)、クロベ(ネズコ)、コウヤマキは、いずれも極めて良質な木材のため「木曽の五木」と呼ばれ、尾張藩の手厚い保護の下、厳重に管理されてきました。

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木の達人

中尾由一

昭和7年(1932)徳島県生まれ。
昭和26年(1951)、山陽パルプ(現日本製紙)入社。製紙・建材用原料として木材を調達するために、日本各地の山林を渡り歩き数多くの林業家、製材業者との親交を深める。その後、建材事業部に異動。静岡営業所長時代に、菊池建設の創業者である宮大工出身の菊池安治と出会う。
昭和48年(1973)、オイルショックで景気が低迷する中、国産檜を安く調達し低価格で檜造りの住宅を供給する手法を考案。「檜の家」発売の仕掛人となる。
平成6年(1994)、菊池建設の要請を受けて顧問に就任。東京・横浜・埼玉支店長を歴任する傍ら木材調達部門を担当。平成10年(1998)、菊池建設代表取締役就任。耐久性に優れ、家族の健康を守る国産檜を使い、なおかつローコストを実現した「檜の家・せんまん」を代表とする本格木造軸組注文住宅で高い評価を受けた。
平成17年(2005)日本独自の森林認証制度『緑の循環』認証会議より、建築会社として国内初のCoC認定を取得。国産認証林材を使った住宅建築に着手。
平成18年(2006)5月、社長職を勇退。

監修:中尾由一
構成:民井雅弘
企画・制作:株式会社インターナショナル・メディアグループ

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