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連載記事
家づくりのための「木の話」

家づくりの要となる材木の乾燥度

11.木はじっくり乾燥させてこそ本当の強い木になる

乾燥していない木が使われる

空気中の水分を吸収したり放出したりするために、木は絶えず少しずつ変形しています。木材が反ったり、ヒビが入ったりするのはこのためですが、この「狂い」をなるべく出さないためには、木をよく乾燥させることが重要になってきます。

伐採(ばっさい)された木材が徐々に水分を減らして、狂いが出ない状態になるまでには長い時間が必要です。この時間を惜しむあまり、まだよく乾燥していない木材を使うことが多々あります。これでは建てたあとでさまざまな障害が生じてくるのは当然です。

そこで、乾燥までの時間を早める蒸気乾燥など、強制的に木を乾燥させる方法も考案されました。しかし、無理矢理乾燥させた木は、人間の過度なダイエットと同じように木自体の健康を損ないます。人の筋肉に当たる組織がダメージを受け、木本来の強さを失ってしまうことにもなるのです。

家はゆっくりつくるのが理想

では、どうやって木を乾燥させるのが一番いいか。人工乾燥の中でも乾燥時間が長いため、木に対するダメージの少ない低温除湿乾燥も一つの方法です。しかし理想をいえば、木を自然の外気に当て、半年から一年、ゆっくりと時間をかけて乾燥させる方法が一番です。

この方法では伐採した場所に枝葉をつけたまま2、3ヶ月放置し、葉からの水分蒸散を促す「葉枯らし」を併用します。人工乾燥に比べ色つやの良い木材に仕上がります。家づくりは建てる前に材料の手当をして、じっくり時間をかけるもの。50年程前までの、このいわば木の「醸成(じょうせい)」とも言うべき方法が、本来の木材の使い方であり、理想的な家の建て方だったのです。

ちなみに、良質な無垢の木材を見極め、変形を封じ込める木組みを駆使すれば、それほど乾燥に気を使わなくても大きな狂いが出るものではありません。集成材が普及するにつれて、乾燥しきっていないとうまく接着せず、少しでも変形するとはがれてしまう集成材の性質から、「乾燥度」をしきりにいいたてるようになったという話もあります。

乾燥が十分でない木材を安易な方法で使うと、後で問題が生じる可能性があります。素人では判断が難しいこともあって、現状では信頼できる住宅建築業者を慎重に選ぶことが、必要と言えるでしょう。

木が乾燥していく過程と「狂う」メカニズム
木材の中にある水分には、細胞の中や隙間に存在する液体の状態である「自由水」と、細胞壁に組織結合の状態で存在する「結合水」の二通りの存在があります。乾燥が進んで「自由水」がなくなった状態を繊維飽和点といい、ここまでは木材は変形しません。さらに乾燥が進んで細胞壁内の結合水が減少するにつれて変形が始まります。大気中の湿度と細胞壁内の結合水量が等しくなった状態まで乾燥が進めば大きな変形は起きなくなります。

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木の達人

中尾由一

昭和7年(1932)徳島県生まれ。
昭和26年(1951)、山陽パルプ(現日本製紙)入社。製紙・建材用原料として木材を調達するために、日本各地の山林を渡り歩き数多くの林業家、製材業者との親交を深める。その後、建材事業部に異動。静岡営業所長時代に、菊池建設の創業者である宮大工出身の菊池安治と出会う。
昭和48年(1973)、オイルショックで景気が低迷する中、国産檜を安く調達し低価格で檜造りの住宅を供給する手法を考案。「檜の家」発売の仕掛人となる。
平成6年(1994)、菊池建設の要請を受けて顧問に就任。東京・横浜・埼玉支店長を歴任する傍ら木材調達部門を担当。平成10年(1998)、菊池建設代表取締役就任。耐久性に優れ、家族の健康を守る国産檜を使い、なおかつローコストを実現した「檜の家・せんまん」を代表とする本格木造軸組注文住宅で高い評価を受けた。
平成17年(2005)日本独自の森林認証制度『緑の循環』認証会議より、建築会社として国内初のCoC認定を取得。国産認証林材を使った住宅建築に着手。
平成18年(2006)5月、社長職を勇退。

監修:中尾由一
構成:民井雅弘
企画・制作:株式会社インターナショナル・メディアグループ

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