ホーム > 連載記事 > 家づくりのための「木の話」 > 第10項目:木は大気中の水分を調節する自然のエアコン

連載記事
家づくりのための「木の話」

木は大気中の水分を調節する自然のエアコン

10.木造校舎が防いだインフルエンザ?

二重の木箱が御物を守った

三角形の木材を水平に壁のように組んだ校倉造(あぜくらづくり)の建物である奈良・東大寺の正倉院。1300年の長きにわたって聖武天皇の貴重な御物を守ってきたことで知られています。

校倉造は木が水分を吸収すると膨張し、雨の侵入や余計な湿度が入り込むことを防ぎ、乾燥すると収縮して空気を内部に入れて換気を促す。かつて教科書などにも記載されていた庫内の環境を一定に保つという「校倉呼吸説」ですが、宮内庁などの調査によると、木自体の膨張・収縮はそれほど大きくなく、年間で見ると季節によって庫内の湿度・気温に変動があることがわかりました。

しかし、正倉院を調べるうちに、木が持っている大きな働きも明らかになっています。正倉院の秘密は、御物がスギでできた唐櫃(からびつ)と呼ばれる箱に納められ、二重の木で守られていたこと。

湿度は庫内の湿度が外気温の変動幅の5分の1ほどだったのに対して、唐櫃の内側は50分の1と変動がとても少なく、木の箱に湿度をコントロールする極めて高い能力があることが、ここでも証明されました。

木の調湿機能が家族の健康を守る

調湿能力が高い木材 内装の違いによる住宅内の湿度変化
「則元京 他 木材研究資料No.11.1977」より

空気中の湿度が高いときには水分を吸収し、湿度が低くなれば水分を放出するという木材の「調湿機能」は、とくに湿気の多い日本にとって大きなメリットがあります。

湿度の高すぎ、低すぎは不快なだけでなく健康にとってもマイナスばかり。天候や四季に応じて湿気を調節してくれる木造の家は、家族の健康にいいだけでなく、結露が少ないなど家自体の「健康」にも効果があります。

また、人々が集まる公共の場所や学校でも、木材の持つ調湿機能や断熱性、保温性などが健康保持に役立っていることもわかっています。

例えば、鉄筋コンクリートの学校に比べて、木造校舎の学校では、流行期にインフルエンザによる学級閉鎖の割合が半分以下だった例もありました(※1)。

また、特別養護老人ホームにおける調査でも、木材を多く使用している施設では、入居者のインフルエンザにかかる割合が、木材使用の少ない施設より低いという調査結果が出ています(※2)。日本のような湿度の高い地域では、木でできた家に住む。これも歴史が教えてくれた知恵なのです。

  • (※1) 「木造校舎の環境が及ぼす教育効果調査報告書」日本住宅・木材技術センター
  • (※2) 「高齢者・障害者の心身機能の向上と木材利用」全国社会福祉協議会
ビール瓶2.5本分の水分が角材1本の中に蓄えられている
木材は乾燥状態で、その質量の12~15%程度の水分を含んでいます。軸組工法の木造住宅に使用される柱には、10.5cm×10.5cm×3mの角材がよく使用されますが、これに含まれる水分を計算すると、ビール瓶2.5本分もの水分を含んでいることになります。木材は湿度が高くなると30%ぐらいまで空中の湿度を吸収し、乾燥すると水分を放出しています。無機質の材料はこのような作用がないので、結露を生ずることになります。

ページの先頭へ

冊子プレゼント

当連載を1冊にまとめた「木の達人が語る家づくりのための木の話」(A5判・36ページ)を、ご希望の方にプレゼント!

※建設予定地が菊池建設の施工可能地域(東京都・神奈川県・静岡県・千葉県・埼玉県の1都4県とその隣接地域)の方に限らせていただきますので、ご了承ください。
※その他のエリアの皆様は当サイトにて連載記事をご参照くださいますようお願い申し上げます。

ご応募はこちら

木の達人

中尾由一

昭和7年(1932)徳島県生まれ。
昭和26年(1951)、山陽パルプ(現日本製紙)入社。製紙・建材用原料として木材を調達するために、日本各地の山林を渡り歩き数多くの林業家、製材業者との親交を深める。その後、建材事業部に異動。静岡営業所長時代に、菊池建設の創業者である宮大工出身の菊池安治と出会う。
昭和48年(1973)、オイルショックで景気が低迷する中、国産檜を安く調達し低価格で檜造りの住宅を供給する手法を考案。「檜の家」発売の仕掛人となる。
平成6年(1994)、菊池建設の要請を受けて顧問に就任。東京・横浜・埼玉支店長を歴任する傍ら木材調達部門を担当。平成10年(1998)、菊池建設代表取締役就任。耐久性に優れ、家族の健康を守る国産檜を使い、なおかつローコストを実現した「檜の家・せんまん」を代表とする本格木造軸組注文住宅で高い評価を受けた。
平成17年(2005)日本独自の森林認証制度『緑の循環』認証会議より、建築会社として国内初のCoC認定を取得。国産認証林材を使った住宅建築に着手。
平成18年(2006)5月、社長職を勇退。

監修:中尾由一
構成:民井雅弘
企画・制作:株式会社インターナショナル・メディアグループ

お問い合わせ・資料請求

どんなことでもお気軽にお問い合わせくださいませ。

お電話からのお問い合わせ

電話:054-345-1255

ホームページからのお問い合わせ・資料請求

  • お問い合わせ
  • 資料請求
  • 菊池ブログ
  • 三島営業所スタッフブログ
  • 家づくりのための木の話
  • 檜の家こそが家族を守る住宅