
アメリカの大リーグで人工芝をやめて、昔と同じような土と天然芝に戻そうという動きが広まっています。日本のプロ野球でも、トレードされるならドーム球場ではなくて、天然芝のグラウンドを持つ球団を選ぶという選手が増えています。人工芝の下はコンクリートなどの堅い層になっていて怪我をしやすく、選手寿命が短くなりがちだからです。
健康的で安全な空間を目指す住宅や学校でも同じ考え方が求められています。とくに高齢の方が生活を送る老人ホームなどでは、床や壁の安全性が重要なテーマです。
ビニール・タイルやコンクリートの床だと、なによりも怖いのが転倒事故。コンクリートに絨毯(じゅうたん)を張ってもその衝撃はかなりのものになります。
この点、木材は万一転倒しても、無数のパイプ状の細胞が変形してクッションの役目をするので、大理石と比べると2~3倍の衝撃吸収率になります。天然素材を床や壁に上手に使用することは、怪我の防止など家族の安全につながっていきます。
ヒノキの細胞構造
針葉樹の中でもヒノキの細胞は緻密であるために、美しい木目や、粘りのある丈夫さを持っています。
絶えず転倒する心配がある幼児や赤ちゃん。とくに赤ちゃんは、はいずり回って常に床に触れ、ときにはなめてしまうこともあるので、床の安全性がぜひとも求められます。
床を木にしても、次に問題となるのが塗装です。汚れや傷を防ぐために硬い皮膜をつくるウレタン塗装などが一般的ですが、本来、フィトンチッド効果や、湿気の吸放出作用がある木材の表面を覆ってしまうのはもったいない限り。その柔らかな肌触りを生かすためにも、塗装をしない無垢の木材を使えば、木が持っている効能を十分に引きだすことができます。
どうしても汚れが気になるという人には、表面に皮膜をつくらずに中に染み込んでいく塗料もあります。中でも「米ぬか塗料」は木の特性を生かしながら安心できる点でお勧めしたい塗料です。
かつて、木の床はぬか袋を使って磨いていた時代がありました。これを扱いやすい液体にしたもので、スギの無垢板に塗れば、しっとりと落ち着いた濡れ色を醸しだします。水をこぼしても弾くので、汚れ防止にもなります。天然の米ぬか油脂なので、万一赤ちゃんが床をなめても安心なのです。
参考/宮崎県木材協同組合連合会HP「木のふしぎ再発見」ほか
- 天然の木だからこそ発揮する保温効果や断熱効果
- 木材の主な成分にセルロースやリグニンという物質があります。木材の構造を成り立たせている細胞は中空で、細胞と細胞の間にも無数の隙間があり、空気を多く含んでいます。このため保温や断熱の効果に優れ、住宅にもっとも適した素材として使われ続けてきたのです。ちなみに、「熱伝導率」は、水を1とした場合、木材は0.5、鉄は105で、鉄は木材に比べ200倍も早く熱を伝え、コンクリートは木材の3~4倍の熱伝導率となっています。





































