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連載記事
家づくりのための「木の話」

家づくりに何より大切な適材適所の知恵

6.木の素性を知ってこそはじめて本当の家はできる?

環境に合った木を使うことが一番

木は育ったところの気候風土によって育ち方が違い、それぞれ異なった特性を身につけます。家を建てるときも、その家が建つ場所の環境に合った木を使うべきなのです。

日本の住宅には国産材を使うことが理想。もし、海外の材木を家づくりに使うなら、なるべく同じ緯度(類似した気候風土)の場所で育った木を使うほうが、耐久性に優れた住宅になるのです。

「適材適所」という言葉は、まさにそんな家づくりの勘どころを教えてくれる言葉といえます。

例えば、昔から大工の間では「北海道の木を柱に使うな」という合い言葉がありました。降雨量が少ないなど、気候が異なる地で育った木を本州で使うと、シロアリに侵されやすいことを現場の職人たちは経験から知っていたのです。

なによりもその木がどんなところで育ち、どんな特性を持っているか、その木の素性を知った上で材木を使わなければ、本当の家づくりはできないのです。

ヒノキの最高品は高知産

A:生節(いきぶし)
枝が生きている状態で巻き込まれたもので、周囲の組織と一体になっている。
B:死節(しにぶし)
枯れてから巻き込まれたもので、幹とつながっていないため抜けてしまうことがある。

家づくりに最良のヒノキにしても、ただヒノキであるからいいというわけではありません。例えば、寒いところで育ったヒノキと暖かいところで育ったヒノキとでは、その強さが違います。一般的に寒いところで育った木は年輪が詰んで全体は丈夫にはなりますが、強度に問題が出てくる「死節」(しにぶし)が多くなります。

その点、ヒノキの中でも最高品とする人が多いのが高知のヒノキ。温暖な気候で育つために抜け落ちることのない「生節」(いきぶし)が多く、その割合は、岡山のヒノキで「生節2、死節8」、吉野のヒノキが「生節5、死節5」に比べて、「生節8、死節2」になるとも言われています。ヒノキの中で最高の強さを誇る上に、さらに高知のヒノキはピンクがかった色合いが美しく最上と推す人も多いのです。

木を知り抜いてこその良材

同じヒノキといってもこれだけ違いがあるのにもかかわらず、残念なことに農林規格では太さの数値などが問われるだけで、生節、死節の割合などは無視されています。

家づくりに最良の質を求める人には、最良の品質の材料で応える。これも、単に材木を手配するのではなく、森を知り、良材を選び抜ける職人の目を持った住宅建築業者でなければできないことなのです。

生節が多い木はよく手入れをされた森育ち
「生節」はかつての枝の根元部分で、周囲の幹本体の組織とつながっていて節が抜けることはありません。反対に枝が枯れて樹皮が残っている「死節」は、すぽっと抜け落ちたり、全体の強度を弱めることになります。なぜ、この「生節」「死節」の出方の割合に差が出るのか。それには気候条件ともう一つ、「手入れ」の問題があります。若いうちから枝打ちを重ねた木には、「死節」が少なく、「生節」が多くなる傾向があるといわれています。

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木の達人

中尾由一

昭和7年(1932)徳島県生まれ。
昭和26年(1951)、山陽パルプ(現日本製紙)入社。製紙・建材用原料として木材を調達するために、日本各地の山林を渡り歩き数多くの林業家、製材業者との親交を深める。その後、建材事業部に異動。静岡営業所長時代に、菊池建設の創業者である宮大工出身の菊池安治と出会う。
昭和48年(1973)、オイルショックで景気が低迷する中、国産檜を安く調達し低価格で檜造りの住宅を供給する手法を考案。「檜の家」発売の仕掛人となる。
平成6年(1994)、菊池建設の要請を受けて顧問に就任。東京・横浜・埼玉支店長を歴任する傍ら木材調達部門を担当。平成10年(1998)、菊池建設代表取締役就任。耐久性に優れ、家族の健康を守る国産檜を使い、なおかつローコストを実現した「檜の家・せんまん」を代表とする本格木造軸組注文住宅で高い評価を受けた。
平成17年(2005)日本独自の森林認証制度『緑の循環』認証会議より、建築会社として国内初のCoC認定を取得。国産認証林材を使った住宅建築に着手。
平成18年(2006)5月、社長職を勇退。

監修:中尾由一
構成:民井雅弘
企画・制作:株式会社インターナショナル・メディアグループ

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