
植物の持つ自然の香りを利用して、心や体を健康にする方法、アロマテラピー(芳香療法)。これは植物に含まれている精油、つまりフィトンチッドの働きを利用したものです。
樹木の中には人の心身に効能があるフィトンチッドを含むものが多く、森の中にいるだけで、その効能をシャワーのように浴びることができるのです。
そもそもなんのために木はフィトンチッドをつくりだすのでしょうか?
動けない樹木は、他の植物や動物、病害菌などの外敵から身を守るために、テルペン系の芳香性化合物をつくりだし、常に発散しています。
1930年頃、旧ソ連のB・P・トーキン博士は、この植物の不思議な力を発見し、フィトン(植物)、チッド(殺す)というラテン語由来のロシア語からこう命名しました。
樹木の中には人の心身に効能があるフィトンチッドを含むものが多く、森の中にいるだけで、その効能をシャワーのように浴びることができるのです。
| 樹種名 | 精油含有率(%) | 主要成分 |
|---|---|---|
| ヒノキ | 1~3.0 | α-ピネン、ボルネオール、γ-カジネン、α-カジノール、 ヒノキオール |
| サワラ | 0.5~2.0 | α-カジネン、α-カジノール、δ-カジノール |
| ネズコ | 0.7~1.0 | α-ピネン、カンフェン、フェンケン、ボルネオール、 ヒノキチオール |
| ヒバ | 1.0~1.5 | ツヨプセン、ヒノキチオール、クパレン、ドラブリン |
| スギ | 0.1~1.0 | クリプトメリオール、クリプトメリジオール、δ-カジネン、 β-オイデスモール |
| コウヤマキ | ~2.0 | セドレン、セドロール、ジテルペン |
| ツガ | ~0.2 | α-ピネン、カンフェン、酢酸ボルニル、ボルネオール |
| クスノキ | 2.0~2.3 | カンファー、1.8-シネオール、サフロール、リモネン |
- 「木材居住ハンドブック」岡野 健ほか編、朝倉書店(1995)
この森林浴効果をいながらに堪能する方法があります。
ヒノキはピネン、カジノール、ヒノキオールなどのテルペン系の精油を多く含むフィトンチッドをたえず発散しています。
ヒノキで家をつくれば、そのリラックス効果のほか、森が自然界で果たす浄化作用や、木が他の生物に対して持っている防虫・防蟻効果など、さまざまな機能を我が家に備えることができるのです。
医学の現場では、ヒノキの精油成分が、院内感染で問題視されるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の発育を阻止することが、昭和大学医学部の故・飯倉洋治先生の研究で突き止められています。抗菌作用は人体を蝕(むしば)む病原菌にも有効であることがわかってきたのです。
ヒノキがいつまでもその香りを失わないのは、そんな人体に恩恵をもたらすフィトンチッドの含有率が高く、伐採(ばっさい)後も発散し続けるからです。
しかも、大事な点は人体に無害な天然物質であるために、副作用などの心配がほとんどないこと。
ヒノキの家が、家族の健康と安心にとって最良であるといわれるのにはそんな理由があります。
- 大昔からヒノキの効能を知っていた日本人
- 昔から日本人はヒノキの神秘的な力を認めて、生活の中に応用してきました。「ヒノキやヒバで建てられた家に住むと風邪をひかない」「3年間は蚊がやってこない」などの言い伝えがあるのは、フィトンチッドの効果を実感していたから。心からリラックスできるヒノキの風呂桶を備えることが家づくりの象徴だったり、その抗菌効果を生かして寿司屋さんで寿司を置く飯台にしてきたのも、そんなヒノキの力を知ってこその知恵なのです。




































