ホーム > 連載記事 > 家づくりのための「木の話」 > 第1項目:育った年月の倍以上を行き続けるヒノキ

連載記事
家づくりのための「木の話」

育った年月の倍以上を生き続けるヒノキ

1.千数百年劣化しない鉄や石よりも丈夫な素材とは?

法隆寺に見るヒノキの寿命

一見とても頑丈そうに見える鉄筋コンクリートの建物。しかし、時間を重ねるうちに鉄は錆び、コンクリートは劣化していきます。いつか必ず寿命が訪れます。

日本建築学会の調査によると、築後40年も経たないうちに、鉄筋コンクリート建築の半分以上は、取り壊されているといいます(※1)。

では、どんな材料でつくられた建物が長持ちするのか。我が国には世界に誇る建造物があります。その一つは、607年(推古15年)に推古天皇と聖徳太子が奈良・斑鳩(いかるが)の里に開いた法隆寺。五重塔は建立から1300年以上を経て、今もなお建ち続ける世界最古の木造建築です。

1993年に五重塔を含む法隆寺が、日本ではじめて世界文化遺産に指定されました。実はまさに木、それもヒノキでつくられたからこそ、人類の遺産となった建築物なのです。

今も香りを放つヒノキ

ヒノキの曲げ強度と
圧縮強度における経年変化

『法隆寺を支えた木』
西岡常一、小原二郎著

五重塔は幾度も修復されていますが、柱や梁、桁など肝心なところはすべて創建当時のヒノキであり、どれも樹齢1000年以上のもの。それが1300年以上経っても朽ちることがありません。修復に携わった名棟梁の故西岡常一さんによれば、その表面をカンナで削ると、ヒノキ独特の香りを放ったといいます(※2)。

ヒノキは1300年経っても生きている。ここにヒノキならではの半永久的といえる強靱さの秘密があります。実験によると、ヒノキの曲げ、圧縮などの強さは、伐られてから200年ほどの間にだんだん強くなって最大30%も強度が増し、1000年ぐらい経って新材と同じ強度に戻ります(※3)。つまり、育った年月の倍の年数は、その強度を保ち続けることができる木なのです。

日本のヒノキは、植えられてからほぼ60年を経た時期に伐採され建材になります。法隆寺とはいかないまでも、世代を超えて100年以上は確実に持つ家が、このヒノキを使えば建てられるのです。

現在の住宅には「日本住宅性能評価基準」が定められています。どれくらい長持ちするか「劣化の軽減」についての等級で、ヒノキは75年から90年も持つことが認められている一番高いグレードの等級3を得ています。

末長く住み続けられる家はヒノキでつくるべきであることを、法隆寺の五重塔は私たちに教えてくれるのです。

  • (※1) 『木づくりの常識非常識』上村武著、学芸出版社
  • (※2)、(※3 )『法隆寺を支えた木』西岡常一、小原二郎著、NHKブックス
住宅性能表示制度でも認定されたヒノキならではの劣化のしにくさ
住宅性能表示制度とは、国土交通大臣が定めた「日本住宅性能表示基準」に基づいて、住宅の性能を比較できるようにしたもの。木造軸組工法の「劣化の軽減」には、3つの等級が決められ、等級1は「建築基準法に定める対策が行われているもの」。等級2は「構造躯体が2世代(50年~60年)もつ程度の対策が行われているもの」。等級3は「構造躯体が3世代(75年~90年)もつ程度の対策が行われているもの」となっています。

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木の達人

中尾由一

昭和7年(1932)徳島県生まれ。
昭和26年(1951)、山陽パルプ(現日本製紙)入社。製紙・建材用原料として木材を調達するために、日本各地の山林を渡り歩き数多くの林業家、製材業者との親交を深める。その後、建材事業部に異動。静岡営業所長時代に、菊池建設の創業者である宮大工出身の菊池安治と出会う。
昭和48年(1973)、オイルショックで景気が低迷する中、国産檜を安く調達し低価格で檜造りの住宅を供給する手法を考案。「檜の家」発売の仕掛人となる。
平成6年(1994)、菊池建設の要請を受けて顧問に就任。東京・横浜・埼玉支店長を歴任する傍ら木材調達部門を担当。平成10年(1998)、菊池建設代表取締役就任。耐久性に優れ、家族の健康を守る国産檜を使い、なおかつローコストを実現した「檜の家・せんまん」を代表とする本格木造軸組注文住宅で高い評価を受けた。
平成17年(2005)日本独自の森林認証制度『緑の循環』認証会議より、建築会社として国内初のCoC認定を取得。国産認証林材を使った住宅建築に着手。
平成18年(2006)5月、社長職を勇退。

監修:中尾由一
構成:民井雅弘
企画・制作:株式会社インターナショナル・メディアグループ

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