2009.12.03本物の住まいとは:その3
「菊池ブログ」をスタートさせて早4カ月余りが経過してしまいました。 世間一般に「ブログ」と呼ばれているものは日記のように、日々の出来事を綴られるものが多くありまして、「今日はどんなことが書いてあるのだろう…」とたくさんの方に見ていただくことが目的なのですが…。
気がついてみれば1カ月に1度しか更新していないという怠慢ぶりでして、大いに反省しております。ブログの更新を努力したいと思います。
今回は「感性に語りかける質感や意匠」について考えてみます。
住宅の「いい質感」と「悪い質感」について事例をあげてみましょう。
例えば、物入れの扉と居室出入り口の扉を比較してみましょう。 一般的に、物入れの扉にはコストをかけないものです。 細い木枠の両面に薄いベニヤ板を貼った「フラッシュ戸」が用いられることが多く、扉の中は中空になっているため軽い仕上がりになっています。 扉の開け閉めも軽く操作できます。 扉を叩いてみるとからっぽの木箱のように、ポンポンといった音がします。 物入れの扉としては不都合を感じないものです。 でも寝室や居室の出入り口には使いたくないですよね。 何故でしょう。
答えは簡単、プライバシーを守ってくれるような信頼性を感じられないからです。 居室の扉には開け閉めの際にある程度の手応えを感じる「重さ」が欲しくなります。 「重さ」からは堅牢でしっかりした造りがイメージされます。 実際「重さ」は遮音性能にもつながってきます。 ドアハンドルを握る時も正確で明快な操作性・反応・操作音が欲しくなります。 なぜならば人は、扉への信頼性や安心感を、手応えや操作音などで無意識ながらも、常に確認しているからです。
高品質な木製の無垢框ドアなどが好まれる理由はこんなところにもあります。 逆にいえばフラッシュ戸でも、木枠の中に遮音性や重量感を高めるボードを組み入れるなどして、居室扉としての信頼性や安心感を得られるものであれば十分使用できる訳です。 実際、当社では襖紙を貼ったフラッシュ戸を「漆喰の家」の標準的な室内扉として使っています。 当然、軽量な物入れの扉とは一味違う上質な仕上がりです。

住む人の感性、五感に心地よい住まいの要素をあげてみました。
視 覚 : 意匠・造形の美しさ、光、色艶
聴 覚 : 生活音の響き、建具の開閉音、壁や床の衝撃音
触 覚 : 手触り、足触り、手応え、室温、雰囲気
嗅 覚 : 木の香り、室内の空気
心理感覚: 安心感、落ち着き、安定
こうした住宅から感じ取る要因のすべてにおいて、心地よく快適だと思える住まいこそ、上質な本物の住まいといえるのではないでしょうか。 無垢の木材や天然素材を使えば、住む人の五感に心地良く感じる効果が得やすくなります。 その他の素材を使って建築をする場合や、住宅設備機器などを選ぶ際にも、カタログ的な性能の良し悪しだけでなく実際に見て、触れて、操作してみての質感を評価することを忘れてはならないと思います。
当社の創業者・菊池安治が檜の無垢材にこだわる理由を尋ねられ、「年月を重ねるごとに増してくる色艶の美しさは無垢材でなければ出てこない」と答えています。 合板や集成材の表面に薄く張りつけた「突板」では、長く使い込むことで醸し出される木肌の味わいは期待できないということなのです。 アンティーク(骨董品)と住宅を一緒に論じると乱暴かもしれませんが、長く使い込み馴染むことで生まれる価値を尊ぶことのできる住宅って素敵だと思いませんか。
年月を重ねることが古くなるのではなく、熟成されていく感覚になる住まい。 住み続けるにつれて愛着が深まればこそ、思い出や記憶を家族とともに育んでいくことができるのではないでしょうか。 そのためにも時流に左右されない、普遍的な価値ある意匠(デザイン)も大切になってきます。
当社が伝統的な和の設えにこだわる理由がここにもあるのです。(投稿者:M.H)






































